私は現在ワーキング・ホリデー(ワーホリ)でスペインに滞在しており、就職活動中である。最近オーストラリアやカナダで出稼ぎする若者についての報道を目にするが、就ける仕事の種類は限られ、日本食レストランで日本人オーナーに雇ってもらうケースが多い。これは、20歳前後の若者たちはまだ手に職がないため、アルバイト以外の働き方を選択することが難しいからだ。一方で、いい歳してワーホリを始めた私には技術職としての社会人経験とスキルが多少蓄積しているため、それを活用して就職しようと考えている。ここでは、失業率が高く仕事がないと言われるスペインにおいて、何のコネもない技術職の私が、独力で正社員を目指して就活する過程について記述していく。
結論
オンラインでの就職活動では、面接を受けることは疎か、企業からの反応・返信をもらうことすら一切できなかった。これからワーホリを予定している方は、現地に着いてから仕事が見付からない状況に陥らないように、ワーホリVISA取得前から現地での働き口を確保しておきたいと考えるかもしれない。しかし、日本からオンラインで就活するのは非常に難しいというのが私の所感。
本文
日本でもそうだが、スペイン(ヨーロッパ)で仕事を手に入れようとする場合、オンラインでの就活を考えるのが一般的だろう。具体的には「Linkedinを活用」「企業ホームページに直接アクセス」の2つの手段が候補に挙がると思われる。私も最初にパッと思い付いた仕事の探し方はこの2つの手段だった。
Linkedinから応募
Linkedinは、就活・転職サイトとFacebookが合わさったような形態のビジネス特化型SNSである。Linkedinの中で、企業は自社の製品・活動アピールや求人募集を行っている。一方個人は、学歴・職歴などのプロフィールを登録し、同僚や同業関係者とコミュニケーションをとったり、企業の求人に応募したりしている。また、企業の採用担当が個人のページを巡回していることもある(私のページも何件か採用担当者の閲覧履歴があったりする)。
日本人にとってはあまり馴染みがないと思うが、欧米ではビジネスマン・ビジネスウーマンの多くが活用している。2023年11月時点での登録者数は、全世界で9.8億人以上だそうだ(参考リンク:Linkedin)。
私の場合、日本での経験を活かしてスペインで働くことを目指していたため、Linkedinの求人検索機能を用いて特定の職種を探した。しかし、私の専門分野の業界はスペインで盛んではなく、また国の経済状況も著しくないため、求人募集なんて存在しなかった。そこで「既に募集を締め切っている過去の求人を漁って、それをアップロードした採用担当者にDM(ダイレクトメッセージ)を送る」「狙いの業界でさえあれば募集職種が異なっても応募する(例:技術職の私が事務職の求人に応募する)」の2つの手段を用いて、合計4社に履歴書を送りつけた。
結果としてはどこからも返信をもらえなかった。返信さえもらえなかった理由としては「そもそも技術職を必要としていない」「応募人数が多くて埋もれた」「外国人(アジア人)だから怪しまれた」辺りを推測する。直接聞いたわけではないので確証はないが。
企業ホームページから応募
規模の小さな企業であっても、それらのほとんどは自社のホームページを持っているだろう。大概の企業ホームページ内には”Trabaja con nosotros(私たちと仕事をしましょう)”のような人材募集ページがあり、そこから応募することができる。私は、そういった人材募集ページから4社に履歴書を送った。
結果は、Linkedinと同様、どこからも返信をもらえなかった。返信さえ来なかった理由としては、「採用担当者は従業員の欠員が発生したときしか応募メールを確認しない」である。これは、別の手段で面接まで有り付けた企業の従業員に直接言われた。スペインの企業ではジョブ型雇用を採用しているため、欠員が発生した場合のみ人員を探す形式が一般的である。余裕のある時に人を雇って育成しておく、なんて感覚は持ち合わせていない。人材を欲していない状況であれば、履歴書を送っても読んでもらえることはないそうだ。
もし仮に人材募集ページがなかったとしても、問い合わせページくらいは設けていることだろう。そこから履歴書を送りつけるのも一つの手として考えられる。私も実際に問い合わせページから2社に履歴書を送りつけた。
結果は、他の手段と同様にどこからも返信をもらえなかった。どの会社も問い合わせページからのメールはさすがに目を通しているだろう、と目論んでいたのだが間違いだったのかもしれない。知り合いのスペイン人によると、客から問い合わせフォーム経由でクレームを受けたとしても企業から何の反応もないというのは日常茶飯事だそうだ。わざわざそんなものを確認するほど律儀ではないとのこと。もちろん、顧客向けの問い合わせページに送られてきた謎の外国人の履歴書なんて怪しんで無視しただけかもしれないが。
最後に
以上のように、スペインワーホリにて、オンラインを活用した就職活動は困難を極めた。私が関心を持った全6社に対して、手段を変えながら合計10回履歴書を送ったが、企業からは何の反応ももらえなかった。
スペインでは仕事を見付けることが難しいという噂を知り、日本に在住しながらワーホリ開始前に就職先を確保して安心しておきたいと考える方も多いかと思う。しかし、それは更に難しくなるのではないかというのが私の所感である。もちろん事前に就活しておいたからといって何か損するわけではないし、企業の人員補充のタイミングと偶然一致すれば返信をもらえるかもしれない。オンライン就活にリスクはないので、時間的に余裕があるならやるだけやってみることを勧める。
そして、企業から何の反応ももらえていないという事実を踏まえ、おそらくどの企業も私の履歴書を読んですらいないんだろうなと私は考えた。というのも、私の履歴書はそこそこ目を引くはずだからだ。就活戦略を変えて1社だけ面接まで有り付いた話については後の記事で記述する。
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