私は今ワーキング・ホリデー(ワーホリ)VISAを使ってスペインに滞在中で、現地で就職活動をしている。最近は以前に増してワーホリVISAを取得する若年層に注目が集まっているようで、その特集が組まれている報道を目にする機会が増えていることだろう。ただ、そのほとんどはオーストラリアやカナダなどの英語圏であり、その他言語圏についての情報はまだ十分に出回っていない。ここでは、日本の機電系メーカーで開発部門に従事していた私が、経済状況があまり良くなく仕事探しが難しいスペインで、技術職として就職活動する過程について記述していく。私は少し特殊な例かもしれないが、誰かしらの参考対象になれればと思う。
結論
オンラインでの就活では企業から返信をもらうことができなかったが、アポなしで直接企業を訪問する飛び込み就活によって面接まで有り付くことができた。非効率この上なく、また相手からは鬱陶しく思われるだろうが、何だかんだアナログの強さを実感した。
本文
私は当初Linkedinや企業独自の採用ページを通じてオンラインで就職活動していた。しかし、履歴書を送ったところで待てど暮らせど反応が返ってこないため、途方に暮れていた。もはやここまでかと帰国も視野に入り始めてきた中で、最後の悪足掻きで企業に直接出向いてみようと考えた。現地人に1人も知り合いがいない状態で入国した私には何のコネもなく、企業と事前に連絡する手段がない。よって、飛び込み営業のような形でアポなし訪問した。
1社目
1社目は、アンダルシア州にある田舎町の外れの企業。建物は添付画像のような雰囲気。建物内部の照明がついていたため、中に人がいるのは判断できた。だが、入口周辺にインターフォンらしいものがなかったため、社員を呼び出すことができず、誰かが出てくるのを待つしかなかった。
建物の前で20~30分くらいは張っていると、30歳くらいの男性社員が中から出てきて声をかけてきた。全く人通りのない道で1人突っ立っているアジア人は不審者そのものだっただろう。最初の内は怪訝な表情をされながらの会話だった。
社「君は誰だ?」
私「こんにちは、僕は日本から来た○○。今この国で仕事を探していて。」
社「日本?フラっと来る距離じゃないだろ笑」
私「ワーキングホリデーって知ってる?今はその制度を使って日本に滞在しているんだ。」
社「ワーキングホリデー?」
私「・・・
と、そこから10分くらい雑談した。そろそろ不審者のレッテルが多少外れてきた頃合いで、
私「採用担当者と話をしたい。繋いでくれないか?」
社「構わんよ、ちょっと待ってくれ。」
と建物内に戻っていった。数分後、建物から出てきて
社「しばらく採用担当者は席を外すことができない。でも、代わりに連絡先を教えよう。俺からの紹介だと伝えてくれ。俺の名前を使ってくれて構わない。」
と、採用担当者のメールアドレスが書かれたメモ用紙を手渡された。
帰宅後に採用担当者へメールを送ると、次の日に「当社へ興味を持って頂き嬉しく思います。これからあなたの履歴書を読み、再度連絡するのでお待ちください。」的な返答が来た。こうして遂に初めて企業側からの反応をもらえるに至った。この選考は今も続いていて、1次面接(ビデオ通話)が終わり、結果を待っている最中である。1次面接を通過すれば、次は2次面接(対面)だそうだ。面接の詳細については、後の記事で記述する。
2社目
2社目は、ガリシア州にある、これまた田舎町の外れの企業。建物は添付画像のような雰囲気。建物の1階がロビーとなっていて、訪問客向けの受付カウンターがあった。なので、1社目と異なり、アポなし飛び込んでもすぐ社員(受付)の女性に話しかけることができた。
受「あなたの名前と、面会相手の名前を教えてください。」
私「日本から来た○○です。面会の約束は誰とも取り付けていません。」
受「え?では何のために来られたのですか?」
私「仕事を手に入れるためです。採用担当者とお話しさせて頂きたい。」
受「約束はないんですよね?なら無理です。」
私「では、この履歴書を手渡してもらってもいいですか?」
受「仕事の応募なら当社のホームページからお願いします。」
私「数週間前に応募したのですが、なかなか返事を頂けていなくて。どうしても手渡して頂きたいです。」
受「それは困ります。」
私「私も困ります。遥々遠くからやって来たんです。このまま帰ることはできません。」
受「・・・
のような感じで始まり、20分くらい雑談した。すると、ある程度打ち解けてきて、採用担当にその場で電話をかけてもらえた。
受「仕方ないわね。採用担当に掛け合ってみるから、ちょっと待ってて。」
受「・・・、出ないみたい。うーん、代わりに採用担当のメールアドレスを教えてあげる。私から紹介されたって伝えて。」
という感じで、直接会うことはできなかったが、2社目でも採用担当者のメールアドレスを手に入れた。
最後に
スペインはコネ社会であるとよく言われているが、まさにそれを実感した。ホームページからの応募は全て無視だったにもかかわらず、誰かしらの社員からの紹介だと言ってメールを送れば返事がすぐに返ってきた。行政手続きについてもそうだが、企業の採用業務・人事業務もマニュアル化されていなのだろうなと推測。全ては担当者の考え方や気分次第。
私の希望する職種に就こうとすると、どうしても企業が僻地に位置する傾向となる。2社目の訪問では、今住んでいるコルドバからガリシアの田舎町へ行くために、宿泊費込みで往復10万円弱の費用と3日半の日数がかかった。日本でいえば、山口県辺りの県庁所在地から、電車すら通っていない東北地方の村に行くような感じだろうか。こんな飛び込み就活はそう何発も試せるものではない。
返信をもらえた企業とのやり取りについては後の記事で記述する。
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