【準確定申告】海外転出に向けた退職後の国内手続き【iDeCo, 企業型DC】

 会社員を辞めて海外転出(ワーキングホリデー、留学 等)を考えている方や、脱サラ後に海外移住を考えている方は、退職後にどんな準備や手続きを進めるべきか知りたいのではないでしょうか。ここでは、退職後にスペインワーホリを開始した私が、退職後・海外転出前に進めた手続きについて記述します。
 退職前の準備については、下記リンクをご参考ください。

結論

 下記6点の手続きを退職後・海外渡航前に進める必要があります。

 ① 年金種別変更と年金納付
 証券口座開設
 企業型DC→iDeCoの資産移換
 住民税納付
 ⑤ 準確定申告
 ⑥ 海外転出届

 また、退職~海外転出の期間は1~2ヶ月ほど確保しておくことをお勧めします。

 

本文

 年金種別変更

 年金納入者は、第1号が自営業や無職等、第2号が公務員や会社員等、第3号が被扶養者、のように3種別に分類されます(参考リンク:日本年金機構)。
 会社を退職した後に転職しない場合、第2号から第1号への変更申請を行う必要があります。この年金種別変更は、後の企業型DC→iDeCoの資産移管にも関わってきます。各都道府県の年金事務所、または、マイナポータルで変更申請しましょう。
 なお、第2号の場合は給料から自動的に年金を天引きされますが、第1号になると自分で年金を支払うことになります。自宅に年金の振込用紙がその年1年分届くので、それを使用することになります。
 海外転出手続きを済ませると自動的に年金の支払い義務がなくなりますが、海外転出する月の前月の分までは支払う必要があります。退職してから海外転出するまで1ヶ月以上の時間を要する方は、忘れずに支払いましょう。私の場合は、7月に海外転出したので、6月分まで支払いました。
 なお、海外転出中であっても、国民年金に任意加入し続け、年金を支払い続けることもできます。任意加入希望者は、海外転出手続き後に年金事務所で手続きしましょう。

 

 証券口座開設

 日本国内に証券口座を開設するためには、マイナンバーカードを提示する必要があります(参考リンク:日本証券業協会)。一方で、非居住者となってしまうとマイナンバーカードを失うため、口座開設できなくなります。マイナンバーカードを失う前に、口座開設しておきましょう。また、多くの証券会社は、海外在住者に対する口座の維持を認めていないので注意しましょう。
 私個人的には、楽天証券に口座を所有しています。楽天証券は、条件付きで海外在住者の口座維持を認めている、数少ない証券会社です(参考リンク:楽天証券)。

 

 企業型DC→iDeCoの資産移換

 企業型確定拠出年金(企業型DC)を積み立てていた方は、退職後に積立金を別の管理会社へ移換する必要があります。国民年金基金連合会のiDeCo公式サイトによると、移管先がない状態で6ヶ月放置すると、国民年金基金に自動的に移換されてしまいます。
 元々iDeCo口座を所有していた方は、「国民年金の種別」と「証券会社のiDeCo積立者情報」の変更手続きを済ませると、自動的に企業型DCからiDeCoへ資産が移換されます
 また、海外在住者は「日本の企業で雇われている」または「国民年金に任意加入している」のどちらかを満たしていない限り、iDeCoの掛金拠出を継続することができません。海外在住中に年金を支払い続けるつもりがないのであれば、証券会社へ掛金拠出を停止し運用指図者になることを連絡しましょう。
 なお、退職前にiDeCoを開設していない方でも、退職後6ヶ月以内にiDeCoを開設すれば、自動的に企業型DCからiDeCoへ資産が移換されます。ただし、iDeCo開設には2~3ヶ月の時間を要するため、会社員でいるうちに開設しておくことをお勧めします。

 

 住民税

 会社員の場合、住民税は給料から自動的に天引きされていましたよね。退職すると、自宅に住民税の振込用紙がその年1年分届き、自分で支払うこととなります。
 住民税は、その年の1月1日に日本に住民票を置いていた場合、その年の分を全額払わなければなりません(参考リンク:大阪市総合コールセンター)。私の場合も、7月に海外転出しましたが、12月分まで全額支払いました。忘れずに支払いましょう。

 

 準確定申告

 会社を辞めると、年末調整ではなく、自分で確定申告しなければならなくなります。一方で、海外転出すると、マイナンバーカードを失うため、オンラインで確定申告できなくなります。つまり、確定申告の時期にわざわざ日本へ帰国する必要が出てきてしまうわけです。
 そこで活用したいのが、準確定申告です。準確定申告は、本来の確定申告の時期を待たずして、事前に確定申告を済ませておける制度です。確定申告の時期の日本不在が決まっているのであれば、ぜひ活用するべきです。
 準確定申告の方法は、確定申告と同じです。ただ、本来の確定申告の時期ではないため、国税庁に行ってもその年の確定申告書は手に入りません。前年分の確定申告書を使うこととなります。私の場合、令和5年に海外転出したため、令和4年用の確定申告書を用いて準確定申告を行いました。
 また、出国前に全ての納税手続きが終わらない方、出国後に日本国内での収入が発生し得る方、何かしらのトラブルが生じたときに国外から自分で対処することが難しい方は、「納税管理人の届出書」も国税庁に提出する必要があります(参考リンク:国税庁)。私の場合、納税手続きは完了しましたし、日本国内での収入も発生し得ませんでしたが、念のため「納税管理人の届出書」を提出しておきました。

 

 海外転出届

 海外転出する場合でも日本国内の市町村への引っ越しと同じ手続きを行うことになります。通常の転出届を役所へ提出します。私の場合は、転入先住所記入欄に詳細な住所の記載を求めらず、スペインとだけ書きました。
 ここで重要なことは、海外転出時にマイナンバーカードの返却を要求されるということです(参考リンク:大阪市総合コールセンター)。つまり、何かしらマイナンバーカードを用いて手続きしたい場合は、海外転出届の提出前までに全て完了させておく必要があるということです。

 

最後に

 これにて海外転出手続きが完了します。
 特に、年金やiDeCoの手続きでは想定以上に時間を要することになるかもしれません。あまりギチギチに予定を詰めず、退職~海外転出の期間は1~2ヶ月ほど確保しておくことをお勧めします。私も1ヶ月半程度の時間を確保しました。

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