2017年にスペインと日本の間でワーキング・ホリデー(ワーホリ)制度が開始しています。ワーホリを利用してスペインで働いてみようと考えている方は、入国後にどのような手続きをするべきか知っておく必要がありますよね。
スペインのワーホリは、歴史が浅いこともあり、マドリード、バルセロナ、バレンシアの3大都市以外の情報はまだ多く出回っていないことかと思います。そんな中、私はアンダルシア州のコルドバ県で居住を開始しました。本記事では、スペインの田舎で行政手続きを行った私の経験を記述していきます。
結論
スペインのコルドバ在住の私は、働き始めるために、以下の順番で手続きを行いました。
② 電話番号取得
③ 住民登録
④ NIEカード申請
⑤ 社会保障番号申請
本文
● パスポート、N.I.E番号用紙、証明写真
日本を飛び立つ前に「パスポート」と「N.I.E番号用紙」をスペイン大使館で手に入れていますよね。スペインでは、この2つを起点に行政手続きを進めていくこととなります。また、スペインでは証明写真(背景白、32×26mm)が必要となるので、事前に準備しておくのも良いと思います。
住居契約(および在留届)
スペインに着いたら、どこかしらの住居を見付けなければなりませんね。スペインでの住居探しは、idealistaやBadiというサイトで行うのが一般的です。日本にいる内に大家さんと連絡を取って、内見する日を打ち合わせておくのも良いかと思います。
住居契約において気を付けなければならないことは、その物件が住民登録できるかを事前に把握しておくことです。稀に、貸出物件として行政に申請せず、脱税しながら家賃収入を得ている大家がいます。その場合、住民登録を認めてくれることはありませんから、ご自身が行政手続きで困ることになります。住民登録できるか必ず事前に確認しましょう。
もし契約が成立すれば、「賃貸契約書」をゲットです。
また、仕事を始めるために必要というわけではないですが、住居が決まったタイミングで日本の外務省へ在留届を提出しましょう。旅券法によって、海外に長期滞在する場合は、旅券法によって在留届の提出が義務づけられています。(参考HP:外務省)
電話番号取得
次は、携帯ショップへ行き、スペインでの電話番号を取得しましょう。
私はVodafoneで契約しました。理由は、スペイン全国どこでもショップがあるため、何か困ることがあっても相談しに行きやすいからです。また、契約しているSimは「月額€10、データ容量40GB、国内電話無制限」のものです。日本の携帯キャリアと比べると、だいぶ安く感じますね。
日本国内で使っていたスマホをそのまま使いたい場合は、出国前にSimロックを解除しておきましょう。持ち物は「パスポート」以外必要ありません。
住民登録(Empadronamiento)
「賃貸契約書」と「電話番号」を手に入れたら、「住民登録申請書」をダウンロードして記入(参考HP:コルドバ市役所)し、市民センター(Centro Cívico)へ持って行き、住民登録する必要があります。「住民登録申請書」には「電話番号」を記載する欄があります。
住民登録するためには大家にも付き添ってもらう必要があり、また公共料金(電気・水道 等)の領収書を持参してもらう必要もあります。大家に協力をお願いしましょう。
住民登録するためには事前に市民センター窓口の予約をしなければなりません。ただ、コルドバでは、電話でしか予約できません。スペイン語が堪能なら問題ないですが、カタコトで電話は非常に苦しいものがあります。私は、市役所(Ayuntamiento)内の案内窓口(Información)へ直接足を運び、住民登録したい旨を伝え、職員に代わりに予約を取ってもらいました。後日の市民センター訪問時は大家にも付き添ってもらう必要があるため、市役所訪問前に大家の空いている日を確認しておきましょう。ちなみにコルドバは大都市ではないため、1週間後で窓口の予約が取れました。マドリード等ではそういうわけにはいかないようですね。
そして悲報なのですが、コルドバでは窓口で申請してから約4か月後に正式に住民登録されます。登録されるまで住民票を手に入れることはできません。申請直後に手に入るのは、「住民登録申請証明書」だけです。
NIEカード(La tarjeta de Número de Identidad de Extranjero)
「住民登録申請証明書」を手に入れたら、在留外国人事務所(Oficina de Extranjeria)で、N.I.Eカードを申請しましょう。
NIEカードを申請するためには、Sede eledtrónicaという行政webページで、在留外国人事務所の窓口を事前予約する必要があります。在留外国人事務所は各県に存在するため、コルドバのような田舎でも手続きできます。いやむしろ、コルドバのような田舎は、在住している外国人が少ないため、前日予約できるくらいスカスカで、逆に有利です。大都市圏だと、窓口予約が2ヶ月後以降とかになったりするようです。
窓口に行くと、「パスポート」「N.I.E番号用紙」「証明写真(背景白、32×26mm)」「住民票」を要求され、提出するとカード発行料の払込書を渡されます。私の場合、住民登録申請していたものの住民登録自体は完了していなかったため、「住民票」の代わりに「住民登録申請証明書」を提示しました。下手なことを言って突っぱねられることを避けるため、あえて住民登録前であることは伝えませんでした。コルドバでの住民登録には4ヶ月かかるため、これを待っているといつまで経っても働き始められなくなってしまうからです。一応、突っ込まれたときのために「賃貸契約書」「住民登録申請書(写し)」も持参しておいた方が良いかもしれません。
払込書を受け取ったら、次は銀行に行きましょう。払込書には銀行検印の欄があるため、銀行窓口に行く必要があります。支払いは現金で€16.08です。銀行によってはこの手続きを受け付けてくれませんので注意が必要です。私はBBVAとCaixaBankという銀行に断られ、bankinterという銀行に受け付けてもらいました。
銀行検印済の払込書を手に入れたら、在留外国人事務所の窓口へ戻り、提出しましょう。カード受取日が記載された「N.I.Eカード申請証明書」をもらえます。N.I.Eカードの発行は申請してから約2ヶ月かかります。なお、カード受取のために窓口予約する必要はありません。
ちなみに、銀行も在留外国人事務所も14時で閉まります。申請→払込→払込書提出を当日で済ませるためにも、在留外国人事務所の予約は午前中にしておくと良いかと思います。
スペイン大使館でビザ申請した際には、「N.I.E番号用紙」だけで働くことができると言われているかと思います。しかし、スペイン人のほとんどはワーホリ制度なんて知りませんので、この紙1枚では採用してもらえない事態に陥っている方が多いようです。私もこの紙だけでは雇えないと言われました。
社会保障番号(El Número de la Seguridad Social)
「N.I.Eカード申請証明書」を手に入れたら、社会保障事務所(Administración de la Seguridad Social)で、社会保障番号を申請しましょう。
社会保障事務所は、窓口の事前予約が不要です。ただし、事務所に行く前にCertificado digital FNMTというスマホアプリで、事前に「電子証明書(アプリ)」を取得する必要があります。
電子証明書を取得したら、社会保障事務所の窓口へ行って、社会保障番号が欲しいと伝えましょう。おそらく「雇用契約書」を要求されます。その際は、まだ就職先は決まっていないが「電子証明書(アプリ)」は持っている、と伝えると次へ進めます。「パスポート」「住民票」「N.I.Eカード」を要求され、それらを提示すると、その場で職員の指示に従いながらSeguridad Socialのwebページを通じて手続きすることになります。
ここでも私は、住民登録前であることを伝えず、「住民票」の代わりに「住民登録申請証明書」を提示しました。一応、突っ込まれたときのために「賃貸契約書」「住民登録申請書(写し)」も持参しておいた方が良いかもしれません。
また、NIEカードも発行前であったため、しれっと「N.I.E番号用紙」を提示しました。一応、突っ込まれたときのために「N.I.Eカード申請証明書」も持参することをお勧めします。
Seguridad Socialのwebページでの手続きが終わり数分経つと、メールで「社会保障番号通知書」が送られてきます。これで社会保障番号をゲットです。
ちなみに、私は2ヶ所の社会保障事務所で住民登録前であることを理由に申請を突っぱねられました。ただコルドバ県内には10か所以上の社会保障事務所があるので、事務所切り替えガチャを繰り返し、数打ちゃ当たる戦法を取りました。日本と異なり、スペイン行政はマニュアルが徹底されていないため、職員個人の考え方や気分次第で対応が変わります。
最後に
これでスペイン(コルドバ)で働く前の行政手続き完了です。あとは仕事を手に入れるだけです。
まともに正面から手続きを進めると、住民登録に4ヶ月、N.I.Eカード発行に2ヶ月、のように長い待ち時間を要することになってしまします。ワーホリ期間は12ヶ月しかありません。半分以上を待ち時間だけで費やすことにならないよう、工夫しながら手続きを進めましょう。(もう少し制度的にどうにかならないのだろうか。。。)
また、日本と異なり、スペイン行政はマニュアルが徹底されていないため、職員個人の考え方や気分次第で対応が変わります。一度窓口で突っぱねられたからといって諦めてはいけません。別の日に別の職員で再チャレンジしたり、別の事務所に替えて再チャレンジしたり、とにかく粘りましょう。
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